【費用の早見表付き】AI導入の費用はいくら?中小企業の内訳と抑え方

この記事で分かること

  • AI導入の費用を「ツール代・作る費用・社内の手間」に分けて見積もる方法
  • 進め方3段階ごとにかかる費用の早見表と、主な生成AIツールの公式料金
  • 見積もりを受け取ったときに確認する10項目のチェックリスト
【費用の早見表付き】AI導入の費用はいくら?中小企業の内訳と抑え方

AI導入の費用は、ツールの利用料だけでは決まりません。AI導入の費用とは、ツール代・業務に合わせて作る費用・社内で使い続ける手間を合わせたものです。「結局いくらかかるのか」が見えないまま、見積もりを比べられずに止まっている会社は少なくありません。この記事では、進め方ごとの費用の早見表と、見積もりで確認する項目を紹介します。

AI導入の費用とは、ツール代・作る費用・社内の手間の3つです

AI導入の費用は、毎月のツール代、最初に作る費用、社内で使い続ける手間の3つに分けると比べやすくなります。

(1)ツール代は、使う人数と期間で決まる費用です

ツール代は、1人あたりの月額に人数と月数を掛けた金額です。ChatGPTやClaudeのような生成AIツールは、法人向けの契約が1人ごとの月額で用意されています。生成AIとは、文章や表、画像などを指示に応じて作るAIのことです。

見落としやすいのは、使う人数が途中で増えることです。試しに3人で契約し、使える場面が見つかって10人に広げると、ツール代は3倍を超えます。最初の見積もりでは、1年後に使っていそうな人数でも計算しておきましょう。

(2)作る費用は、自社の業務に合わせるための費用です

作る費用は、ツールを自社の資料や手順に合わせるための、最初にかかる費用です。例えば、請求書と契約書を突き合わせる仕組みなら、自社の様式を読み取る設定が必要です。既存の会計ソフトや表計算ファイルとつなぐ作業も、ここに入ります。

外部に頼む場合は、この部分が見積もりの中心になります。社内で作る場合も、担当者の作業時間として費用は発生しています。

(3)社内の手間は、見積もりに載らない費用です

社内の手間は、請求書には出てきませんが、AI導入の費用の中で最も大きくなりやすい部分です。資料をそろえる、結果を確認する、様式が変わったときに直す、といった作業が続きます。この手間を見込まないと、導入後に「思ったより楽にならない」という結果になります。

3つの費用の違いをまとめると、次のとおりです。

費用の種類いつかかるか何で決まるか見積もりに載るか
ツール代毎月・毎年1人あたりの月額 × 人数 × 期間載る
作る費用最初に1回(直すたびに追加)業務の複雑さ、つなぐシステムの数外注なら載る
社内の手間使っている間ずっと準備・確認・修正にかかる時間ほぼ載らない

【早見表】AI導入の費用は、進め方で3段階に分かれます

AI導入の費用は、ツールを契約して使うか、今のツールにつなぐか、業務に合わせて作るかで大きく変わります。

(1)生成AIツールを契約して使う

いちばん費用が小さいのは、生成AIツールを契約して、社員が日々の業務で使う形です。文章の下書き、議事録の要約、メールの返信案など、個人の作業を速くする使い方が中心です。主な法人向けツールの料金は、次のとおりです(2026年9月時点の公式サイトの表示)。

ツール1人あたりの月額(標準の料金)人数の条件
ChatGPT Business年払い20ドル/月払い25ドル2〜200名
Claude Team年払い20ドル/月払い25ドル2〜150名
Microsoft 365 Copilot Business月払い3,778円(税抜)。別途 Microsoft 365 の契約が必要最大300ユーザー
Google Workspace(Gemini込み)Business Standard で年間プラン1,600円(税抜)最大300人

ChatGPT と Claude は、利用量の多い人向けに月100ドル(年払い)の上位の席もあります。Google Workspace は、Business Starter だと Gemini を Gmail でしか使えません。

料金は改定されることがあります。契約前に、必ず各社の公式サイトで最新の金額と条件を確認しましょう。

この段階で費用がかさむのは、ツール代よりも「使われない」ことです。契約しても使う場面が決まっていないと、数人しか使わない状態になりがちです。商工中金が中小企業3,892社に行った調査(2026年1月)があります。生成AI導入の課題で最も多かったのは「具体的な活用場面が不明」の35.6%でした。「導入予算や時間を確保できない」の19.4%を上回っています。ツールを選ぶ前に、誰がどの業務で使うかを決めておくと、ツール代が無駄になりません。

(2)今あるツールにAIをつなぐ

会計ソフトや表計算、チャットツールなど、今使っているものにAIをつないで作業を減らす形です。例えば、届いた書類を読み取って表に入れる、決まった形式の報告を自動で作る、といった使い方です。ツール代に加えて、つなぐための設定費用と、動作を確認する社内の時間がかかります。

(3)自社の業務に合わせて仕組みを作る

自社の資料や判断基準を使って、特定の業務を処理する仕組みを作る形です。請求書の照合や入金の消し込みのように、件数が多く、正解がはっきりした業務で効果が出ます。作る費用が最も大きくなる一方、人が確認する量を大きく減らせる可能性があります。

3つの進め方を並べると、次のようになります。

進め方主な費用社内の手間向いている状況
ツールを契約して使うツール代(1人あたり月額)使い方を覚える時間、社内ルール作りまず社員に試してほしい
今のツールにつなぐツール代+つなぐ設定の費用動作の確認、例外の対応決まった作業を毎日くり返している
業務に合わせて作る作る費用+ツール代+直す費用資料の準備、結果の確認、様式変更への対応件数が多く、正解が決まった業務がある

外注の金額は、対象業務の範囲や、つなぐシステムの数で大きく変わります。相場の金額だけで判断せず、次の節で紹介する「見積もりに載らない費用」まで含めて比べましょう。

見積もりに載らないAI導入の費用は、準備・確認・直す手間です

AI導入で後から効いてくるのは、見積もりに載らない社内の手間で、主に準備・確認・直すの3つです。

(1)準備:AIに渡す資料をそろえる時間

AIに仕事を任せるには、普段の作業で使っている資料と、正しい答えの見本が必要です。請求書の照合なら、請求書・契約書・過去に確認した結果をそろえることになります。資料が紙のままだったり、担当者ごとに置き場所が違ったりすると、準備だけで数週間かかります。

準備で必要になるものは、次のとおりです。

  • 普段の作業で使っている資料(請求書、申込書、報告書など)
  • 過去に人が確認した結果(どれを正しい、どれを間違いとしたか)
  • 例外の扱い方(名前の表記ゆれ、様式の違いなど)
  • 業務を説明できる担当者の時間

(2)確認:AIの結果を人が見る時間

AIを入れても、人が確認する作業はゼロにはなりません。確認する量をどこまで減らせるかが効果です。もちもつが支援した経理の業務では、請求書と契約内容を1行ずつ突き合わせていました。着手前は、1つの支店だけで約560行を、毎月2日かけて照合していた作業です。

仕組みを入れた後の結果は、次のとおりです。

確認したこと結果
目視で確認する行の割合88% → 17%(625行中106行)
新たに見つかったもの契約が終わっているのに請求書に載っていたもの 4件

ここで大事なのは、106行は今も人が確認していることです。この確認の時間は、導入後も毎月かかる費用として見込んでおく必要があります。「全部自動になる」前提で費用を計算すると、回収の見通しが甘くなります。

(3)直す:様式や取引先が変わったときの手間

請求書の様式や取引先が変わると、AIの仕組みも合わせて直す必要があります。直す作業を誰がやるのか、外部に頼むならいくらかかるのかを、導入前に決めておきましょう。社内に直せる人がいない場合、変更のたびに外注費が発生します。

直す手間が出やすいのは、次のような変化があったときです。

  • 取引先が増えて、読み取る書類の様式が増えた
  • 会計ソフトや表計算ファイルの項目を変えた
  • 社内のルール(承認の順番、確認する項目)を変えた

どれも、導入した後に普通に起こる変化です。見積もりの段階で、1回直すといくらかかるかを聞いておきましょう。

AI導入の費用を抑えるには、最初の1業務を小さく決めます

AI導入の費用を抑える一番の方法は、最初に取り組む業務を1つに絞り、効果が出やすいものから始めることです。

(1)「2つのものを見比べる」業務から選ぶ

最初の1業務は、2つの資料を見比べて確かめる作業を選ぶと外れにくくなります。請求書と契約内容、入金と申込、名刺と顧客リストのような組み合わせです。件数が多く、正解が決まっていて、間違えてもその場で気づけるからです。

入金の消し込みを支援した例では、940名分の入金と申込を照合しました。氏名の照合の95%が自動で確定し、人が確認したのは21組45名だけでした。振込名義と申込者名のカナが違う、といった消し込みが止まる原因を、確認対象から外せた形です。

(2)件数が少ない業務は、後回しにする

月に10件程度しか発生しない作業は、作る費用と直す手間が、減らせる時間を上回りやすくなります。どれだけ面倒な作業でも、件数が少なければ手作業のほうが安く済むことがあります。もちもつでは、こうした業務には「今はやらない方がいいです」とお伝えしています。

最初の1業務を選ぶときの目安は、次のとおりです。

見るところ始めやすい業務後回しにしたい業務
件数毎月数百件ある月に10件程度
正解合っているかどうかがはっきりしている人によって判断が分かれる
間違えたときその場で気づいて直せる気づかないまま取引先に出てしまう
資料データや決まった様式でそろっている紙や手書きが多く、様式がばらばら

(3)試す期間と、やめる条件を先に決める

費用をかけすぎないために、試す期間と、うまくいかなかったときにやめる条件を先に決めておきます。例えば「1か月試して、確認が必要な件数が半分にならなければ広げない」のように決めます。やめる条件があると、効果の出ない仕組みに費用を払い続けることを防げます。

補助金を使うと、AI導入の費用の一部をまかなえます

中小企業のAI導入の費用には、国の「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)を使える場合があります。

(1)補助の対象になる費用と、補助の割合

通常枠では、ソフトウェアの購入費やクラウドの利用料などの費用の、原則2分の1以内が補助されます。2026年度の公募要領(通常枠)で示されている主な条件は、次のとおりです。

項目内容
補助率1/2以内(最低賃金に近い給与の従業員が一定割合いる場合は2/3以内)
補助額5万円以上150万円未満(業務の工程1つ以上)/150万円以上450万円以下(4つ以上)
対象になる費用ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費
導入関連費の例導入・活用の相談、設定、マニュアル作成、研修、保守サポート

ソフトウェアの導入が前提で、相談や研修だけでは申請できません。補助の割合は、条件に合う場合に2/3以内に上がります。細かい条件は公募要領で確認しましょう。

(2)申請の前に知っておきたい3つの注意点

補助金は、申請すれば必ず受け取れるものではなく、手順を守らないと対象外になります。公募要領から、特に見落としやすい点を3つ挙げます。

  1. 交付決定の前に契約・発注・支払いをした費用は、補助の対象になりません。 急いで契約すると、補助を受けられなくなります
  2. 対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。 どのツールでも使えるわけではありません
  3. 申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と一緒に行います。 自社だけでは申請できません

締切は年に数回あり、回ごとに交付決定の時期が違います。申請から交付決定までは1か月以上かかるため、導入したい時期から逆算して準備しましょう。最新の日程は、公式サイトの事業スケジュールで確認できます。

【チェックリスト】AI導入の見積もりで確認する10項目

見積もりを受け取ったら、金額の合計だけでなく、何が含まれていて何が含まれていないかを確認します。次の10項目を、見積もりを比べるときの共通の物差しとして使ってください。

表を社内メモにコピーし、見積もりごとに「済」欄を埋めて使えます。

確認すること済
【ツール代】1人あたりの月額と、最低契約人数が書かれているか□
【ツール代】月払いか年払いか、途中で人数を増減できるか□
【ツール代】1年後に使う人数で計算した金額を出したか□
【作る費用】どの業務の、どこからどこまでを作るのかが書かれているか□
【作る費用】つなぐシステム(会計ソフト・表計算など)が明記されているか□
【作る費用】想定どおりに動かなかったときの修正が、費用に含まれているか□
【社内の手間】社内で用意する資料と、担当者の作業時間の目安が示されているか□
【社内の手間】導入後も人が確認する作業が、どれくらい残るかが説明されているか□
【使い続ける費用】様式や取引先が変わったときに、誰が直し、費用はいくらか決まっているか□
【使い続ける費用】試す期間と、うまくいかなかったときにやめる条件が決まっているか□

「□」が埋まらない項目は、依頼先に質問として送りましょう。答えがはっきりしない項目は、契約の前に書面で確かめておくと、後から揉めずに済みます。

よくある質問

AI導入の費用は、最低いくらから始められますか

生成AIツールを数人で契約して試すなら、ツール代だけで始められます。ChatGPT Business や Claude Team は、1人あたり月20ドル(年払い)からです。ただし、使う業務を決めずに契約すると使われなくなるため、先に対象業務を決めましょう。

外注と社内で作るのは、どちらが安いですか

作る費用だけを見れば、社内で作るほうが安く見えます。ただし、担当者の作業時間と、様式が変わったときに直す手間まで含めると、逆転することがあります。社内に直せる人がいるかどうかで判断しましょう。

AI導入の費用は、どれくらいで回収できますか

回収できるかは、減らせる手間の量と、導入後も残る確認の手間で決まります。件数が多く、正解がはっきりした業務ほど、回収の見通しを立てやすくなります。計算の方法は、別の記事「AI業務自動化の費用対効果を見極める5つの基準」で紹介しています。

補助金を使えば、費用は安くなりますか

条件に合えば、対象となる費用の一部が補助されます。ただし、申請の手間がかかることと、交付が決まる前に契約した費用は対象外になる点に注意が必要です。公募要領を読み、申請の時期と対象になる費用を先に確認しましょう。

次にやること

AI導入の費用は、ツール代・作る費用・社内の手間の3つに分けると、見積もりを同じ物差しで比べられます。明日からできることは、次の3つです。

  1. AIに任せたい業務を1つ選び、毎月の件数と、1件にかかる時間を書き出します
  2. その業務で使っている資料と、正しい答えの見本が手元にあるかを確認します
  3. 見積もりを取るときは、上のチェックリストの10項目を依頼先に確認します

「うちのこの業務だと、どの進め方で、どれくらいの手間がかかるのか」は、業務の中身を見ないと判断できません。もちもつでは、実際の資料と件数をうかがい、そもそもAIに任せるべきかどうかからお伝えしています。「今はやらない方がいい」という結論になることもあるので、見積もりの前の整理としてご相談ください。

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