【ひな形付き】営業メールを生成AIで書く方法|頼み方と送る前の確認
この記事で分かること
- 営業メールを生成AIに頼むとき、先に渡す5つの材料
- 営業メール・お礼メール・提案文の頼み方のひな形(コピペ用)
- そのまま送らないための、送る前の確認チェックリスト

営業メールの生成AIでの書き方は、「うまい文面を出させる」ことではなく、「相手と目的を渡して頼み、送る前に事実を人が確かめる」ことが要点です。生成AIとは、文章や画像などを、人の指示に応じて作り出すAIのことです。営業メール、お礼メール、提案文は、型があるので任せやすい一方、AIは「もっともらしい嘘」を混ぜることがあります。この記事では、頼み方のひな形3種と、送る前の確認チェックリストを紹介します。
営業メールの書き方で差が出るのは、文面より「頼む前に渡す材料」
生成AIに営業メールを頼んで、どの会社にも送れそうな一般的な文面が返ってくる原因の多くは、AIの力ではなく、渡した材料の少なさです。材料が少ないと、AIは足りない部分を想像で埋めます。想像で埋められた部分が、そのまま誤りになります。
(1)渡す材料は5つ
営業メールを頼む前に、次の5つを書き出しておくと、1回目から使える文面に近づきます。
| 材料 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 相手 | 業種・規模・役職 | 従業員30名の製造業の総務担当 |
| こちら | 会社とサービスを1〜2文で | 中小企業向けに、業務へのAI導入を支援している |
| 目的 | このメールで何をしてほしいか | 15分のオンライン面談の日程をもらう |
| 入れてよい事実 | 本当のことで、載せてよいもの | 支援している業種、対応できる範囲 |
| 入れてはいけないこと | AIに書かせない内容 | 数字の断定、他社名、値引きの約束 |
5つのうち、いちばん書き忘れるのは「入れてよい事実」と「入れてはいけないこと」です。この2つを書かないと、AIは「多くの企業で成果が出ています」のような、根拠のない一文を足します。
(2)相手の名前と連絡先は、入力しなくても書ける
メールの宛名や連絡先は、AIに渡さず、人が最後に入れる運用にできます。文面の中の宛名は「〇〇様」のままにしておき、送る直前に自分で差し替えます。入力した情報の扱いは、利用するサービスや契約の種類で変わります。個人情報や顧客名を入れてよいかは、サービスの公式の説明と、社内のルールで確認しましょう。
(3)1回で完成させず、たたき台として受け取る
最初の文面は完成品ではなく、直す所を見つけるための材料です。気になる所を1点ずつ返すと、3回ほどで形になります。返し方は、後の「返ってきた文面を直す返し方」で示します。
(4)材料が集まらないときは、AIに質問させる
5つの材料が書けないときは、書けない所を、AIに聞いてもらいます。「相手に起きていそうな困りごと」や「このメールの目的」は、頼む時点では決まっていないことがあります。そのときは、頼みたいことを一言で書き、「作る前に、必要な情報を、1つずつ質問してください」と添えます。質問に答えるうちに、材料が揃います。質問が多すぎるときは、「ここまでの回答で、いったん作ってください」と返して打ち切ります。
【ひな形】営業メール・お礼メール・提案文の頼み方
そのまま貼り付けて、〈 〉の中を自分の仕事に置き換えると使えます。最後の1行で、足りない情報を質問させる形にしてあります。
(1)営業メール(初めて連絡する相手)
目的は「面談の日程をもらう」など、1つに絞って書きます。
営業メールのたたき台を書いてください。
【送る相手】〈業種・規模・役職。例: 従業員30名の製造業の総務担当〉
【こちらの会社・サービス】〈1〜2文〉
【相手に起きていそうな困りごと】〈例: 見積書の作成に時間がかかっている〉
【このメールの目的】〈例: 15分のオンライン面談の日程をもらう〉
【入れてよい事実】〈本当のことだけ。無ければ「なし」〉
【入れてはいけないこと】〈数字の断定、他社名、値引きや効果の約束〉
【形】件名の案を3つ。本文は300字以内。です・ます調。宛名は「〇〇様」のままにする。
資料にない数字や事例は書かず、「要確認」と書いてください。
書く前に、足りない情報があれば1つずつ質問してください。
(2)お礼メール(商談のあと)
お礼メールは、商談で実際に話したことだけを材料にします。話していない内容を足されると、相手に「そんな話はしていない」と気づかれます。
商談後のお礼メールのたたき台を書いてください。
【相手】〈会社の種類・役職。宛名は「〇〇様」のままにする〉
【商談で話したこと】〈箇条書きで3点〉
【相手が気にしていた点】〈相手の言葉のまま。例: 現場が使いこなせるか〉
【こちらが約束したこと】〈例: 見積を〇日までに送る〉
【次の予定】〈日時が決まっていなければ「未定」〉
【入れてはいけないこと】〈話していない内容、日付や金額の断定〉
【形】本文は200字以内。です・ます調。
商談で話していない内容は書かないでください。
(3)提案文(提案書の冒頭や、メールで送る提案)
提案文は、根拠にしてよい資料を貼り付けて、その範囲だけで書かせます。資料を渡さずに頼むと、もっともらしい数字や事例が出てくることがあります。
提案文の下書きを書いてください。
【相手の課題】〈相手が言った言葉のまま〉
【提案する内容】〈こちらで決めた内容を3点まで〉
【根拠にしてよい資料】〈ここに資料を貼る。この範囲の数字だけ使う〉
【費用と期間】〈こちらで決めた数字をそのまま。未定なら「別途ご相談」〉
【構成】現状の整理 / 提案 / 進め方 / 費用 / 次の一歩 の5つの見出し
資料にない数字・事例・他社名は書かず、「要確認」と書いてください。
(4)件名だけを頼むとき
件名は、本文を作ったあとに、別に頼むほうが外れません。先に本文を確定させ、その本文を貼って、件名の案を頼みます。
次のメール本文に合う件名の案を、5つ出してください。
条件は、20字以内、相手の困りごとが伝わること、「ご案内」「重要」のような中身のない言葉を使わないことです。
〈ここに本文を貼る〉
出てきた5案のうち、誇張や誤解を招く言い回しのあるものは、使わずに外します。
(5)3つの頼み方の違い
同じ「メール」でも、渡す材料の中心は変わります。
| 種類 | 材料の中心 | AIが間違えやすい所 |
|---|---|---|
| 営業メール | 相手の困りごと、入れてよい事実 | 根拠のない実績・効果の一文 |
| お礼メール | 商談で話したこと、約束したこと | 話していない内容、日付 |
| 提案文 | 貼り付けた資料、費用と期間 | 資料にない数字、他社の事例 |
AIが書いた営業メールで起きやすい失敗と、直し方
AIが書いた営業メールの失敗は、文法の誤りではなく、内容の誤りと、相手に合っていないことに集まります。起きやすい4つを知っておくと、送る前に気づけます。
(1)起きやすい失敗は4つ
どれも、読み返せば気づけますが、読む側が「うまい文面だ」と感じていると見落とします。
| 失敗 | 文面の例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 根拠のない実績が足される | 「多くの企業様で成果を上げています」 | 入れてよい事実に無いものは削る |
| 約束していないことが入る | 「来週中に見積をお送りします」 | 自分が決めた日付に置き換える |
| 相手に合わない一般論になる | 「近年、DXの重要性が高まっています」 | 相手の困りごとを冒頭に1文入れる |
| 売り込みが先に出る | 件名も本文も、サービス名から始まる | 目的の1つ(日程の相談など)を先頭に置く |
(2)説明用の仮の例で、直す前後を見る
次は、説明のための仮の例です。実際の案件の文面ではありません。
直す前の一文は、次のようなものです。
「当社のAIツールは、多くの企業様で業務時間を大幅に削減しています。」
この一文には、「多くの企業」「大幅」と、根拠を示せない言葉が2つあります。入れてよい事実に、数字や実績が無ければ、次のように書き換えます。
「製造業の総務のご担当者様から、見積書の作成に時間がかかるというご相談をいただくことがあります。一度、15分ほどお話しできませんか。」
実績の主張を外し、相手の困りごとと、してほしいことを1つに絞った形です。数字が無いことは、弱点ではありません。書けないことを書かないのが、信頼を失わない書き方です。
返ってきた文面を直す返し方|1回に1点だけ返す
返ってきた文面が惜しいときは、全体を書き直させず、気になる1点だけを返します。全部を一度に直させると、どの指示が効いたのかが分からなくなります。
(1)よく使う返し方
返す言葉は一言で足ります。
| 気になる点 | 返す言葉 |
|---|---|
| 硬い | 「もう少しやわらかくしてください」 |
| 長い | 「半分の長さにしてください」 |
| 一般的すぎる | 「相手の困りごとに触れた1文を、冒頭に入れてください」 |
| 売り込みが強い | 「提案は1つに絞り、売り込みの言葉を減らしてください」 |
| 根拠が不安 | 「この文面の中で、事実として確認が必要な箇所を挙げてください」 |
(2)最後の1つは、確認が必要な箇所を挙げさせる
書かせた本人に、疑わしい箇所を挙げさせると、見落としが減ります。ただし、AIが挙げなかった箇所に誤りがないとは言えません。挙げさせた結果は「見る場所のヒント」として使い、確認は人が行います。
(3)自分の言葉に直して終える
最後は、AIの文面を、自分の言葉に直して出します。相手との関係や、これまでのやりとりを知っているのは、人のほうです。AIの文面に、相手との過去のやりとりを1文足すだけでも、一斉送信の文面とは違うものになります。
【チェックリスト】営業メールを送る前の確認
AIが書いた文面は、送る前に次の項目で確認します。1つでも「いいえ」があれば、送らずに直します。
(1)事実の確認
数字・固有名詞・実績は、元の資料と見比べます。
- 実績や効果の数字は、元の記録にあるものだけか
- 他社の名前や事例を、許可なく載せていないか
- 「〜できます」「〜が出ます」という言い切りに、根拠があるか
- 日付・金額・期限は、こちらが決めた内容と合っているか
- 商談で話していないことが、書かれていないか
(2)相手の確認
宛名と、相手の事情の書き方を確認します。
- 宛名・会社名・役職が、相手のものと合っているか
- 相手の事業と無関係な一般論が、混ざっていないか
- 以前のやりとりがある相手なら、その内容と食い違っていないか
(3)送る側の確認
自社の約束と、送り方を確認します。
- 自社が実際に提供できることだけを書いているか
- 件名と本文の内容が、ずれていないか
- 社外に出す文書は、もう一人が読む手順に載っているか
- 送信者名・会社名・連絡先が、正しく入っているか
(4)送り方の確認
送り方によっては、守るべき決まりがあります。営業目的のメールを送るときの決まりは、送る相手や方法で変わります。自社の送り方が当てはまるかは、次の公式ページで確認しましょう。
| 確認したいこと | 確認先 |
|---|---|
| 迷惑メールに関する法律・対策 | 総務省 迷惑メール対策 |
| 特定商取引法の広告メールの規制 | 消費者庁 特定商取引法 |
この記事では、どの法律がどの送り方に当てはまるかは断定しません。不明なときは、上の公式ページか、専門家に確認してから送ります。
件数が増えるほど、1通ずつ読む仕組みが必要になる
営業メールの本数が増えるほど、AIの文面を全部読む時間は足りなくなります。そのため、件数が増える使い方では、確認の置き方を先に決めます。
(1)自社の記録にある、自動で送る営業の例
もちもつは、問い合わせフォームへの初回の連絡を、毎日決まった時刻に自動で送っています。記録では、1日75件を、9時・13時・17時に人が触らずに送信しています。文面は、相手の業種に合わせて自動で切り替わります。
この件数では、1通ずつ人が読み比べることは現実的ではありません。だからこそ、「何を載せてよいか」を、送る前の材料の側で決めておく必要があります。
(2)件数が多いときの確認の置き方
1通ずつ読むのではなく、型を確かめてから送り、送ったものを抜き取って確かめます。
- 文面の型を作り、「入れてよい事実」を型の側に固定する
- 型を人が読み、事実と約束を確認してから、送信を始める
- 送ったものの一部を、定期的に抜き取って読む
- 返信や苦情が来たら、型に戻って直す
型を確認せずに、AIに毎回文面を作らせたまま大量に送ると、誤りが全件に広がります。
よくある質問
(1)営業メールをAIに書かせて、そのまま送ってもよいですか?
そのまま送らず、事実と宛名を人が確認してから送ります。AIは、根拠のない実績や数字を、もっともらしく書くことがあります。上のチェックリストの「事実の確認」を通してから送りましょう。
(2)AIで書いた文面は、相手に分かってしまいますか?
分かるかどうかより、相手に合った内容になっているかが大切です。どの会社にも送れる一般的な文面は、AIで書いたかどうかにかかわらず、読まれにくくなります。相手の事情を1文入れることで、受け取る側の印象が変わります。
(3)顧客の名前や個人情報を、入力してもよいですか?
会社のルールとサービスの公式の説明を確認するまでは、入力しない運用が安全です。宛名を「〇〇様」のままにして、送る直前に差し替える方法なら、入力せずに済みます。入力した情報の扱いは、利用するサービスや契約の種類で変わります。
(4)営業メールを送るときの法律は、どこで確認できますか?
総務省の迷惑メール対策のページと、消費者庁の特定商取引法のページで確認できます。送る相手や方法によって、当てはまる決まりが異なります。自社の送り方に当てはまるかは、公式ページか専門家で確認してください。
次にやること
明日、1通だけ、この記事のひな形で営業メールかお礼メールを作ってみてください。
(1)1通で試す
まず、1通で、材料の書き出しと送る前の確認を通します。
- 材料の5つ(相手・こちら・目的・入れてよい事実・入れてはいけないこと)を、メモに書き出します。
- ひな形に貼り付けて頼み、気になる点を1点ずつ、3回返します。
- 「事実の確認」のチェックリストを通してから、自分の言葉に直して送ります。
(2)社内で使うときは、確認の担当を決めて相談する
個人の使い方を、営業チームの仕事に広げるときは、「入れてよい事実」の置き場と、確認する人を先に決めます。もちもつの無料相談では、今どの営業文書にAIが使われているかを伺い、材料の整理と確認の担当を決める進め方を一緒に考えます。ツールが決まっていなくても、個人での使い方の整理から始められます。
もちもつでは、業務の選定から現場で使われ続けるところまでを伴走する中小企業のAI導入支援を行っています。