【手順表付き】議事録をAIで作る手順|録音から要約・確認まで
この記事で分かること
- 議事録をAIで作る流れと、各段で人がやること
- 録音・文字起こし・要約の段で、うまくいかない点と対処
- 手順表と、そのまま使える議事録の確認チェックリスト

議事録を生成AIで作るときは、録音、文字起こし、要約、確認の4段に分けると、失敗の場所が見えます。生成AIとは、文章などを、人の指示に応じて作り出すAIのことです。議事録の作成では、会議の音声を文字にする段と、その文字を読みやすくまとめる段を、それぞれ機械に任せます。ただし、できあがった文章が正しいかを確かめるのは、これまでどおり人の仕事です。この記事では、4段の流れ、うまくいかない点、手順表、議事録の確認チェックリストを紹介します。
議事録をAIで作る流れは、録音から確認までの4段
AIで作る議事録の流れは、録音、文字起こし、要約、確認の4段です。前の3段は機械に任せられますが、最後の確認だけは人が持ちます。文字起こしとは、話した声を、文字にすることです。要約とは、長い文字を、要点だけの短い文章にまとめることです。
(1)4段の役割を、表で押さえる
機械が得意なのは「文字にする」と「まとめる」で、「合っているかを決める」のは人です。
| 段 | 何をするか | 機械に任せられるか |
|---|---|---|
| 録音 | 会議の音声を残す | 録音機材とアプリで任せられる。録音の了承は人が取る |
| 文字起こし | 音声を文字にする | 任せられる。固有名詞と数字は誤りが出やすい |
| 要約 | 要点・決定事項・宿題にまとめる | 任せられる。話していないことを足すことがある |
| 確認 | 発言と数字が合っているか見る | 人が持つ。ここを省くと、誤りがそのまま配られる |
(2)AIで作る議事録の価値は、書く時間より「配るまでの速さ」にある
議事録の価値は、会議の直後に、決まったことが全員に届くことにあります。手で書くと、会議の後の1日が、議事録を書く時間に消えがちです。AIに下書きまで任せれば、確認だけに時間を使えます。その分、会議の翌日までに配る運用が、取りやすくなります。
もちもつにも、営業の商談メモから議事録と次のアクションを作りたい、というご相談は多く寄せられます。本文では、導入した結果の数字は使わず、手順と確認の考え方に絞って書いています。
(3)議事録の形を先に決めておくと、AIの出力が揃う
議事録の目的は、会議の様子を残すことではなく、決まったことと次の行動を残すことです。先に、議事録に載せる項目を決めておきます。たとえば、次の5項目です。
- 日時・参加者
- 決まったこと
- 次にやること(担当者と期限)
- 保留になったこと
- 数字や固有名詞の一覧(確認用)
この形を、毎回同じにすると、AIへの頼み方も同じで済み、読む側も迷いません。
【手順1】会議の前に、目的と形と了承を決める
最初の手順は、会議の前に、議事録の形と、録音してよいかを決めることです。うまくいくかどうかの半分は、会議が始まる前に決まります。
(1)議事録の目的と、載せる項目を1行で決める
「何のための議事録か」を1行で書けるようにします。たとえば「担当者が、次の会議までに何をやるかを確認するため」と決めます。目的が決まると、要約させるときに、何を残して何を落とすかが決まります。
(2)録音と、AIでの処理について、参加者の了承を取る
録音は、参加者に事前に伝えて、了承を取ってから始めます。社外の方が参加する会議では、特に大切です。録音すること、AIで文字にすることを、最初に一言伝えます。音声や文字を、どのサービスに送るのかも、先に確認しましょう。確認先は、使うサービスの利用規約とプライバシーの説明、自社の情報管理のルールです。
(3)入力してはいけない内容を、会議の種類ごとに決める
会議の種類によって、AIに入れてよいかが変わります。
| 会議の種類 | 入れてよいかの判断 |
|---|---|
| 社内の定例・進捗の共有 | 自社のルールの範囲で入れてよいことが多い |
| 顧客の個人情報・契約条件が出る会議 | 自社のルールが決まるまで入れない |
| 人事評価・採用面接など | 入れない。別の運用を決める |
どの会議を入れてよいかは、使うサービスの契約の種類でも変わります。契約前に、提供元の説明を確認してください。
【手順2】録音して、文字にする
録音と文字起こしの段で大切なのは、きれいな音で残すことです。AIの賢さより、元の音のほうが、結果を左右します。
(1)マイクを近づけて、1人ずつ話す
音が悪いと、後の段で直しきれません。次の3点を、会議の前に整えます。
- 話す人の近くに、マイクを置く
- 同時に話さず、1人ずつ話す
- 会議室の外の音や、空調の音を減らす
オンライン会議なら、会議サービスの録画・録音の機能を使えます。録音の機能が使えるかや、保存される場所は、サービスや契約の種類で変わるため、使うサービスの説明で確認します。
(2)文字起こしの誤りは、出やすい場所が決まっている
誤りは、まんべんなく出るのではなく、固有名詞と数字に集まります。
| 出やすい誤り | 例 | 対処 |
|---|---|---|
| 同音の言葉の取り違え | 「期限」と「機嫌」、「検討」と「見当」 | 文脈を見て直す。用語集を作っておく |
| 固有名詞・社名 | 社名、人名、製品名が別の字になる | 会議の資料と見比べる |
| 数字・日付 | 「15日」と「50日」の聞き違い | 元の資料と見比べる。確認が必要な箇所に印を付ける |
| 誰の発言か分からない | 発言者が混ざる | 参加者が少ないうちは、発言の頭に名前を言ってもらう |
誰の発言かを自動で分けられるかは、サービスによって違います。使うサービスの説明で確認し、できない場合は、発言の頭に名前を言ってもらう方法で補います。
(3)文字起こしは、そのまま配らず「素材」として扱う
文字起こしは、議事録そのものではなく、議事録を作る素材です。話し言葉のまま、言い直しや「えー」も含まれています。長い文字になるため、これを読んで決まったことを探すのは大変です。そのため、次の要約の段で、決まったことと次の行動だけを取り出します。
【手順3】要約させる|決まったことと宿題を取り出す
要約の段では、AIに、決まったこと・宿題・保留を取り出させます。「要約して」だけでは、会議の様子の説明になり、使えない議事録になります。
(1)頼み方のひな形を使う
項目を指定して頼むと、毎回同じ形で返ってきます。そのまま貼り付けて、〈 〉の中を置き換えて使えます。
次の文字起こしから、議事録を作ってください。
会議の目的は〈例: 来期の新規営業の進め方を決めること〉です。
次の4項目に分けて書いてください。
1. 決まったこと
2. 次にやること(担当者と期限。話に出ていなければ「未定」と書く)
3. 保留になったこと
4. 数字・日付・固有名詞の一覧
文字起こしに書かれていないことは足さないでください。
聞き取れず不確かな箇所は「(要確認)」と付けてください。
〈ここに文字起こしを貼る〉
(2)「書かれていないことは足さない」と添える
生成AIは、話していないことを、もっともらしく補うことがあります。そのため、頼み方に「書かれていないことは足さない」「分からないところは要確認と書く」を入れます。「担当者と期限は、話に出ていなければ未定と書く」と指定すると、AIが担当者を決めてしまうことを防げます。
(3)長い会議は、分けて入れる
1回に入れられる量には、上限があります。上限は、使うサービスや契約によって違うため、使うサービスの説明で確認します。長い会議の文字を、1回で入れて途中が抜けたときは、前半と後半に分けて要約し、最後に2つを1つにまとめる方法があります。
【手順4】確認する|発言と数字を元と見比べる
確認の段が、議事録の品質を決めます。AIの要約は、読むと自然な文章なので、誤りがあっても気づきにくくなります。
(1)数字・日付・固有名詞は、元の資料と見比べる
確認の優先順位は、数字、日付、固有名詞、担当者の順です。金額、期限、社名、担当者名は、間違えると、後の仕事に影響します。文字起こしの該当箇所まで戻って、本当にそう話していたかを確かめましょう。
(2)「決まったこと」は、会議の参加者が見る
議事録に「決まった」と書いてあるものが、本当に決まったことかは、会議に出た人しか分かりません。議論の途中の案を、AIが「決定」と書くことがあります。議事録を配る前に、会議に出た人の1人が、決定事項と宿題の2項目を読んで、合っているかを確かめます。
(3)確認した人と日付を、議事録に残す
誰が確認したかが残っていないと、後から誤りが見つかったときに、直す先が分かりません。議事録の末尾に、確認した人の名前と日付を書きます。確認が済んでいない版は、「下書き」と付けて配ります。
うまくいかない点は、会議の種類と使い方でほぼ決まる
議事録をAIで作ってうまくいかないときは、AIの性能より、会議の種類と運用に原因があることがほとんどです。ここでは、つまずきやすい点を3つに絞ります。
(1)AIに向く会議と、向かない会議がある
決まったことと宿題が、はっきりした会議はAIに向き、微妙な空気を読む会議は向きません。
| 会議の種類 | AIでの作りやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 定例・進捗の共有 | 作りやすい | 項目が毎回同じで、決定事項が明確 |
| 営業の商談の振り返り | 作りやすい | 次の行動と担当者を取り出す仕事が中心 |
| 意見が割れる検討会議 | 注意が必要 | 案と決定の区別が曖昧で、AIが決定と書きやすい |
| 感情や関係性が大事な面談 | 向かない | 言葉にならない雰囲気は、文字に残らない |
(2)出力が毎回ばらつくときは、頼み方と形が決まっていない
項目を指定していないと、毎回違う形の議事録が出てきます。読む側は、毎回、決定事項を探し直すことになり、結局は誰も読まなくなります。手順3のひな形を、会議の種類ごとに1つ決めて、使い回してください。同じ形で出るほど、確認も速くなります。
(3)確認が続かないときは、確認の担当と時間が決まっていない
確認は、誰かがやるものではなく、誰がいつやるかを決めて初めて動きます。会議のカレンダーの予定に、議事録の確認の時間を入れておきましょう。確認を担当する人が決まっていないと、確認が省かれて、AIの誤りが残ります。
【手順表】議事録をAIで作る手順の全体
ここまでの手順を、1枚の表にまとめます。会議の前後で、誰が何をするかを確認するために使えます。
| 順 | タイミング | やること | 担当 | うまくいかない点 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 会議の前 | 議事録の目的と項目を決める | 議事録の担当 | 目的が曖昧で、要約が会議の様子の説明になる |
| 2 | 会議の前 | 録音と、AIでの処理について了承を取る | 会議の主催者 | 外部の参加者の了承を取り忘れる |
| 3 | 会議中 | 1人ずつ話す。固有名詞は資料を見せて言う | 参加者全員 | 同時に話して文字が混ざる |
| 4 | 会議の後 | 録音を文字にする | 議事録の担当(機械) | 固有名詞と数字が取り違えられる |
| 5 | 会議の後 | ひな形で要約させる | 議事録の担当(機械) | 話していないことが足される |
| 6 | 会議の後 | 数字・日付・担当者を元と見比べる | 議事録の担当 | 見比べを省いて、誤りが配られる |
| 7 | 配る前 | 決定事項と宿題を、参加者が確かめる | 会議の参加者 | 案を「決定」と書いてしまう |
| 8 | 配る | 確認者と日付を付けて配る | 議事録の担当 | 下書きと確定版が混ざる |
【チェックリスト】議事録の確認項目
AIが作った議事録を配る前に、次の項目で確かめます。1つでも空欄があれば、配るのを待ちます。
(1)内容の確認
まず確認するのは、決定事項と宿題の2つです。
- 決まったことは、会議で本当に決まったことか(案を決定と書いていないか)
- 次にやることに、担当者と期限が付いているか
- 話に出ていない担当者や期限を、AIが足していないか
- 保留になったことが、決定事項に混ざっていないか
(2)数字・固有名詞の確認
数字と固有名詞は、元の資料と1つずつ見比べます。
- 金額、数量、割合を、元の資料や発言と見比べたか
- 日付と曜日は合っているか
- 社名、部署名、人名、製品名の字は合っているか
- 「要確認」と付いた箇所が、すべて解消されているか
(3)扱いの確認
配る範囲と、残す場所も、確認の一部です。
- 配る相手は、会議の参加者と、必要な関係者だけか
- 個人情報や契約条件など、載せてはいけない内容が入っていないか
- 確認した人の名前と日付を書いたか
- 録音と文字起こしの保存場所と、消す時期が決まっているか
よくある質問
(1)議事録をAIで作ると、人は何もしなくてよくなりますか?
書く作業は減りますが、確認の作業は残ります。AIが作るのは下書きで、決定事項と数字が正しいかを確かめるのは、会議に出た人です。確認を省くと、誤りがそのまま配られるため、省かないでください。
(2)議事録の作成に使うAIは、どれを選べばよいですか?
ツール名より先に、どの会議の議事録を作るかと、確認を誰がやるかを決めます。個別のサービスの機能や料金は、更新で変わります。使う前に、各サービスの公式の説明で、文字起こしの対応と、データの扱いを確認してください。
(3)固有名詞や専門用語の誤りを、減らす方法はありますか?
会議で使う用語の一覧を、先にAIへ渡す方法があります。社名、製品名、略語を一覧にして、頼み方の最初に添えます。それでも誤りは残るため、手順4の見比べは必要です。
(4)顧客との会議を、AIで議事録にしてよいですか?
相手の了承と、自社の情報管理のルールを確認してからにします。顧客の個人情報や契約条件が出る会議は、ルールが決まるまで入れないほうが安全です。判断に迷う場合は、社内の情報管理の担当者か、契約している提供元に確認しましょう。
次にやること
まずは、社内の定例会議を1つ選び、1回だけ、この手順で議事録を作ってみてください。
(1)1つの会議で、4段を通してみる
最初は、個人情報が出ない社内の会議で、4段を最後まで通します。
- 会議の前に、議事録の目的と項目を決め、参加者に録音を伝えます。
- 会議の後に、文字にして、ひな形で要約させます。
- チェックリストの項目で確認し、確認した人と日付を付けて配ります。
作る時間と、確認で直した箇所の数を、書き留めておきましょう。次回の目安になります。
(2)社内の仕事に広げるときは、相談する
個人の使い方を、社内の仕事にするときは、入れてよい会議と、確認する人を先に決めます。もちもつの無料相談では、今どの会議で議事録が負担になっているかを伺い、AIに任せる範囲と、確認の担当を一緒に整理します。ツールや契約が決まっていなくても、会議の種類の整理から始められます。
もちもつでは、業務の選定から現場で使われ続けるところまでを伴走する中小企業のAI導入支援を行っています。