【比較表付き】AIコンサルとは?中小企業に必要か、頼む前に決めること
この記事で分かること
- AIコンサルの役割と、ツール販売・AI研修との違い
- AIコンサルの4つの種類と、自社に合う選び方
- 頼む前に決めておくことと、商談で確認する8項目

「AIを使えと言われるが、何から頼めばいいか分からない」「AIコンサルに相談すべきか、まだ早いのか判断できない」。そんな状態ではありませんか。
AIコンサルとは、AIを自社のどの業務にどう使うかを一緒に決め、必要に応じて仕組みづくりや社内への定着まで支援する外部の専門家・会社のことです。ただ、同じ「AIコンサル」でも、助言だけの会社から、開発や定着まで手を動かす会社まで中身は大きく違います。
この記事では、AIコンサルの役割と種類、必要な会社とまだ要らない会社の見分け方をまとめます。あわせて、頼む前に決めておくことと、商談で確認する8項目も紹介します。
AIコンサルとは、AIを「どこに・どう使うか」を決める外部の相談相手です
AIコンサルの中心にある仕事は、AIを入れる業務と入れない業務を切り分けることです。ツールを選ぶ前に、社内のどの仕事にAIを使えば効果が出るかを決めるところから関わります。
(1)AIコンサルが担う仕事
AIコンサルの仕事は、おおまかに次の5つの段階に分かれます。どの段階まで任せるかで、頼む相手も費用も変わります。
| 段階 | AIコンサルがやること | 社内に残ること |
|---|---|---|
| 業務の棚卸し | 今の業務を聞き取り、手間がかかっている作業を書き出す | 業務の流れと、困っている点の説明 |
| 対象業務の選定 | AIを入れる業務を、効果と作りやすさで1つに絞る | 最終的にどれから始めるかの決定 |
| 仕組みづくり | 選んだ業務で動く形を作る。既存のツールの中に置くことが多い | 試しに使ってみて、合わない所を伝える |
| 現場への定着 | 使われ方を見て直し、手順書や使い方の説明を用意する | 日々の運用と、担当者の引き継ぎ |
| 効果の確認 | 導入前後の数字を比べ、次に広げる業務を決める | 次に何をやるかの判断 |
表の右側の列は、外部に任せても社内に残る仕事です。AIコンサルに任せられるのは作業と設計で、どこまでやるかの判断は社内に残ります。
(2)AIツールの販売やAI研修との違い
AIの支援には、AIコンサルのほかに、ツールの販売とAI研修があります。目的と、終わったときに手元に残るものが違います。
| 比べる点 | AIコンサル | AIツールの販売 | AI研修 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 自社のどの業務にどう使うかを決める | 決まった製品を使えるようにする | 社員がAIを使えるようにする |
| 主な成果物 | 対象業務の決定、動く仕組み、手順書 | 導入済みのツールと設定 | 受講した社員の知識 |
| 向いている状態 | 何に使うかがまだ決まっていない | 使うツールが先に決まっている | 使う業務が決まっている |
| 注意点 | 範囲が広く、どこまで頼むかで中身が変わる | 業務をツールに合わせることになりやすい | 研修だけでは業務の中に置き場所ができない |
「何に使うか」がまだ決まっていない段階なら、ツールや研修より先にAIコンサルへ相談する方が回り道になりません。
【比較表】AIコンサルの種類は、どこまで手を動かすかで4つに分かれます
AIコンサルは、助言だけで終わるか、開発や定着まで手を動かすかで4つに分かれます。どれが良いではなく、社内に何が足りないかで選びます。
| 種類 | やること | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 戦略・助言型 | AI活用の方針や計画を決め、社内の担当者に渡す | 社内に作る人がいて、方向だけ決めたい会社 | 実際に作るのは社内。人がいないと計画で止まる |
| 開発型 | 決まった業務の仕組みやツールを作って納品する | 何を作るかがはっきりしている会社 | 作った後に使われるかは社内次第 |
| 伴走・定着型 | 業務の選定から作成、現場で使われるまでを一緒に進める | 作る人も、使われるまで見る人もいない会社 | 期間がかかる。範囲を最初に決めないと長引く |
| 研修中心型 | 社員向けの研修で使い方を教える | 使う業務が決まっていて、使える人を増やしたい会社 | 業務の中に置き場所がないと、元の手作業に戻る |
(1)社内に「作る人」がいるかで分かれる
社内にAIや業務の仕組みを作れる人がいれば、戦略・助言型で足ります。方向を決めてもらえば、あとは社内で進められます。
作る人がいない会社が戦略・助言型を選ぶと、計画書だけが残りやすくなります。 その場合は、開発型か伴走・定着型を選びます。
(2)「使われるまで見る人」がいるかで分かれる
仕組みを作っても、現場で使われなければ効果は出ません。社内に、使われ方を見て直す人がいるかどうかが2つ目の分かれ目です。
使われるまで見る人がいない会社は、伴走・定着型を選ぶと失敗が少なくなります。 社内でAIが使われない理由は、別の記事「生成AIが社内で使われない理由と立て直し方」で詳しく扱っています。
AIコンサルが必要な会社と、まだ要らない会社
AIコンサルが必要かどうかは、会社の規模ではなく、AIを使う場面が決まっているかで分かれます。
商工中金が中小企業3,892社に行った調査(2026年1月)があります。生成AI導入の課題で最も多かったのは「具体的な活用場面が不明」の35.6%でした。「導入予算や時間を確保できない」の19.4%を上回っています。使う場面を一緒に決めることが、AIコンサルが一番役に立つ所です。
(1)AIコンサルが役に立つ会社
次のどれかに当てはまるなら、AIコンサルに相談する価値があります。
- AIを使いたいが、どの業務から始めればよいか決められない
- 一度ツールを入れたが、使われずに止まっている
- 社内にAIや仕組みづくりに詳しい人がいない
- 同じ作業を毎月、何人もが手作業で繰り返している
- 他社の事例を見ても、自社に当てはめ方が分からない
どれも「場面が決まらない」か「作る人・見る人がいない」のどちらかです。 ここを外部で補うのがAIコンサルの役割です。逆に言えば、この2つが社内でまかなえるなら、外部に頼む範囲はもっと小さくできます。
(2)まだAIコンサルが要らない会社
一方で、次の状態なら、今はAIコンサルに頼まなくても進められます。
- 使う業務も使うツールも決まっていて、社内に設定できる人がいる
- 対象の作業が月に数件しかなく、作る手間の方が大きい
- まず社員が個人でAIを触ってみる段階で、業務に組み込む予定がまだない
件数が少ない作業は、作る手間と直し続ける手間が、減らせる時間を上回ることがあります。AIの仕組みは一度作って終わりではなく、業務の変更やツールの更新に合わせて直し続ける必要があるためです。月に10件しかない作業のために仕組みを作るより、まずは件数の多い作業から探す方が効果は出やすくなります。その場合は「今はやらない」と判断するのも、AIの使い方の一つです。 割に合うかの判断基準は「AI業務自動化の費用対効果を見極める5つの基準」にまとめています。
AIコンサルの費用は、契約の形と任せる範囲で決まります
AIコンサルの費用は、契約の形と、5つの段階のどこまでを任せるかで決まります。同じ「AIコンサル」でも、見積もりの中身が違えば金額は比べられません。
(1)よくある3つの契約の形
| 契約の形 | 中身 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| スポット相談 | 1回〜数回の相談で、方向や対象業務を決める | まず何から始めるかだけ決めたい |
| プロジェクト型 | 範囲と期間を決めて、決まった仕組みを作る | 作るものがはっきりしている |
| 月額の伴走 | 毎月決まった範囲で、作る・直す・広げるを続ける | 使われるまで一緒に見てほしい |
(2)金額を比べる前にそろえること
見積もりを比べるときは、次の3点をそろえてから比べます。
- どの業務を対象にするか(業務の数と件数)
- 5つの段階のどこまでを任せるか
- 終わった後に、何が社内に残るか(手順書、作ったものの持ち主)
範囲をそろえずに金額だけを比べると、安い方が「作るまで」で終わっていることがあります。 費用の内訳と抑え方は「AI導入の費用はいくら?中小企業の内訳と抑え方」で詳しく扱っています。
AIコンサルとの進め方は、小さく作って現場で回してから広げる順番です
AIコンサルとの仕事は、最初から全社に広げず、1つの業務で動く形を作ってから広げる順番で進めるのが基本です。いきなり大きく始めると、使われない仕組みが増えるだけになりやすいためです。
(1)進め方の5ステップ
伴走・定着型のAIコンサルに頼んだ場合、多くは次の5つのステップで進みます。社内の担当者が関わるのは、主に「説明する」「試して伝える」「決める」の3つです。
| ステップ | AIコンサルがやること | 社内の関わり方 |
|---|---|---|
| 1. ヒアリング | 手が止まっている業務と、その手順を聞き取る | 今の仕事の流れと困っている点を説明する |
| 2. 対象を1つ決める | 効果と作りやすさで、最初の1業務に絞る | どれから始めるかを決める |
| 3. 作って渡す | 今使っているツールの中に、動く形を作る | 試しに使い、合わない所を伝える |
| 4. 現場で回す | 使われ方を見て直し、使い方の説明を用意する | 日々の業務で使い、止まった所を伝える |
| 5. 広げる | 結果を見て、次の業務や部署へ広げる | 次に広げる業務を決め、手順書を引き継ぐ |
(2)一度に全社へ広げない理由
最初の業務で使われる形ができると、その結果が次の業務を選ぶ材料になります。どの作業で時間が減ったか、どこで人の確認が必要だったかが分かるからです。
逆に、最初から複数の部署に同時に入れると、どこで止まったのかが分からなくなります。 1つの業務で現場が自分の言葉で説明できるようになってから、次に広げましょう。
AIコンサルに頼む前に、任せたい業務を1つ決めておく
AIコンサルへの相談を早く実りあるものにするには、頼む前に任せたい業務の候補を1つ決めておくことです。決まっていない状態でも相談はできますが、候補があると最初の打ち合わせで話が具体的になります。
(1)頼む前の準備は4つ
次の4つを、社内で30分ほどかけて書き出しておきましょう。
- 毎月くり返している作業を3つ書き出す
- それぞれの作業に、月に何時間・何件かかっているかを書く
- その作業で、ミスや確認の手間が多い所に印をつける
- 3つの中から、一番困っている作業を1つ選ぶ
件数と時間が書いてあれば、AIで変わるかどうかを最初の打ち合わせで判断できます。 数字が分からない作業は「分からない」と書いておけば十分です。
(2)実際の案件では「数字の点検」から入ることが多い
もちもつが関わった案件では、広告業の経理で、請求書と掲載リストの突き合わせを自動化した例があります。人が目視で確認する行は、関西の支店で88%から17%(625行中106行)に減りました。契約が終わっているのに請求書に載っていた掲載も、実データから4件見つかりました。
二つのものを見比べて確かめる作業は、件数が多く正解が決まっているので、最初の1業務として外れにくい作業です。 候補に迷ったら、まず社内の「突き合わせ」「点検」の作業を探してみましょう。
【チェックリスト】AIコンサルを選ぶときに確認する8項目
AIコンサルを選ぶときは、提案の上手さより、終わった後に自社に何が残るかを確認します。商談の場で、次の8項目を聞いてみましょう。
| No. | 確認すること | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 1 | 対象業務を、効果と作りやすさで選んでいるか | 「なぜその業務から始めるのか」を聞く |
| 2 | 補助金・助成金ありきの提案になっていないか | 制度を使わない場合の進め方も聞く |
| 3 | 今使っているツールの中に置く提案か | 乗り換えが前提かどうかを聞く |
| 4 | 作るまでで終わらず、使われるまで見てくれるか | 納品後の関わり方を聞く |
| 5 | 実績が「何をしたか」ではなく「誰が何をできたか」で語られるか | 支援後に先方が自分でできたことを聞く |
| 6 | 社内の情報をどこまで外に出すか、先に決めるか | データの扱いと、社外に出さない方法があるかを聞く |
| 7 | 判断を人に残す設計になっているか | AIに任せる所と人が決める所の分け方を聞く |
| 8 | 終わった後に、手順書と作ったものが社内に残るか | 契約終了後の持ち主を聞く |
(1)補助金・助成金ありきの提案に注意する
AIの導入では、補助金や助成金を前提にした提案を受けることがあります。制度を使うこと自体は悪くありません。
ただ、制度の対象に合わせてツールや研修を選ぶと、現場の業務と噛み合わずに使われなくなることがあります。 先に効果の出る業務を決め、制度はその後で使えるか確かめる順番にしましょう。補助金の条件は「デジタル化・AI導入補助金2026とは?条件と注意点」にまとめています。
(2)実績は「先方が自分でできたこと」で見る
AIコンサルの実績を見るときは、支援が終わった後に、相手の会社が自分で何をできるようになったかを確認します。
もちもつが関わった広告運用の案件では、979本の広告から成果の良い19本を抜き出す手順を作りました。その手順書を使って、先方の担当者が別の2つのアカウントの分を自分で統合し、14本を抜き出すところまで進めています。 このように「手を離した後も回るか」が、AIコンサルの成果を見る一番の目安です。
よくある質問
AIコンサルはAIの進化でなくなりますか
調べものや資料づくりのように、AIが自分で答えを出せる部分は安く速くなっていくと考えています。一方で、自社のどの業務に使うかを決め、現場で使われる形にする仕事は、会社ごとに条件が違うので残ります。選ぶときは、後者まで関わってくれるかを見ましょう。
AIコンサルの費用の相場はどれくらいですか
契約の形と任せる範囲で大きく変わるため、一つの相場で比べるのは難しいです。まず、スポット相談・プロジェクト型・月額の伴走のどれかをそろえます。そのうえで、業務の選定から定着までのどこまでを任せるかをそろえて、複数の見積もりを比べましょう。
社内にAIに詳しい人がいなくても頼めますか
頼めます。むしろ、詳しい人がいない会社ほど、業務の選定から定着まで関わる伴走・定着型が向いています。最初は、今の業務の流れと困っている点を説明できれば十分です。
相談のとき、社内の資料はどこまで見せればいいですか
最初の相談では、資料そのものを渡す必要はありません。どんな作業に、月に何件・何時間かかっているかを説明できれば十分です。実際に作る段階になってから、どこまでを社外に出すかを決めて進めましょう。
補助金や助成金は使えますか
条件に合えば使えます。ただし、制度に合わせて業務やツールを選ぶと、使われずに残ることがあります。先に効果の出る業務を決めてから、制度が使えるかを確かめる順番をおすすめします。
次にやること
AIコンサルを検討するなら、次の3つから始めましょう。
- 毎月くり返している作業を3つ書き出し、件数と時間を添える
- その中で、突き合わせや点検の手間が多い作業を1つ選ぶ
- 上のチェックリストの8項目を、相談先に聞く質問として手元に置く
自社の場合、どの業務から始めれば効果が出るか、そもそも今AIを入れるべきかは、業務の中身と件数によって変わります。もちもつでは、今の業務と困っている点を伺い、AIに任せる範囲と人に残す判断を一緒に整理しています。任せたい業務がまだ決まっていない段階からご相談いただけます。
もちもつでは、業務の選定から現場で使われ続けるところまでを伴走する中小企業のAI導入支援を行っています。